今週のお題「書いてよかった2023」
絵のない絵本
『スパイクのゆめ』
ぼくは あの子のスパイクだ
10月から履いてくれてるのさ
今日も汗でどろどろだ
だけど
もう ぼくはあの子に履いてもらえないんだ
あの子がいっぱい走って
力いっぱいボールを蹴って
ついに
ぼくは 壊れてしまった
今日はあの子の
大切な日だったからね
仕方がないんだ
今までで一番
強くて かっこいいシュートが
打てた
あの子は
楽しそうに
サッカーしてた
となりの県のおともだちができて
嬉しそうに
笑った
ぼくは
ぼくは
(涙)
もっと あの子と一緒にサッカーが
したかったな
ぼくはスパイク
だから いつかお別れが来る
そんなの 分かっていたはずなのに
涙が出るよ
ああ
びしょびしょなのは
ぼくの涙だったのか
あれ?お母さんが
ぼくの写真を撮ってくれたよ
『ありがとう』
そう言って
ぼくを玄関に飾ってくれた
今日は
あの子の夢を見よう
ぼくが星になったら
お母さん
あの子を
お願いね
色んな国に
連れていってあげてね
そして
たくさんの人と
サッカーを通して
いっぱい仲良くなれますように
ぼくは
幸せだったよ
壊れるまで
履いてくれて
ありがとう
ちょっと足はくさいけど
君が一番輝いてた
ぼくはいつも
誇らしかった
君が大好きだった
絶対 夢 叶えてよ
そして
ぼくを世界一のスパイクだって
言ってね